はじめに
2026年1月施行の行政書士法改正は、自動車販売・整備業界に大きな影響を与え、報酬を得て行う登録・車庫証明などの書類作成代行業務が厳しく制限され、違反すると個人だけでなく法人にも罰則（両罰規定）が適用される点が最大の特徴です。
これにより、これまで「グレーゾーン」だった無償を装った有償代行は「違法」となり、販売店や整備工場は、行政書士への委託、または業務プロセスの見直しによるコンプライアンス強化が急務となります。
主な変更点と影響、独占業務の明確化と強化
「いかなる名目を問わず」報酬を得て官公署に提出する書類（申請書、車庫証明書など）を作成・提出する行為は、行政書士の独占業務と明記され、非行政書士の反復継続的な有償代行は禁止されます。
「登録代行料」「サービス料」など名目に関わらず、実態が書類作成代行なら違反対象です。
両罰規定の導入
担当者個人だけでなく、その業務を命じた法人（販売店・整備工場など）も罰則（1年以下の懲役または100万円以下の罰金）の対象になります。
業務の見直しが必須
「無料サービス」として行っていた書類作成・提出代行は、法改正後は「有料」とみなされるリスクが高まります。
罰則リスクを避けるためには、行政手続き関連業務を専門家である行政書士に委託することが最も確実な対応策です。
自動車業界が取るべき対応と業務プロセスの見直し
車庫証明や登録手続きのフローを洗い出し、法令に準拠した形に再構築する。
行政書士との連携強化
書類作成・申請代行は専門の行政書士に委託し、コンプライアンスを確保する。
料金体系の適正化
サービス料などと称して書類作成の対価を得ている場合、適正な報酬体系に変更するか、行政書士への委託費用として計上する。
最後に
この改正は、自動車業界の「慣行」を見直し、適正な業務運営とコンプライアンス経営を確立する機会と捉えることが重要です。